企業から「欲しい」と言われる人材になるために

よく志望理由で「価値観が合うから」「雰囲気が良いから」という理由を書いたり、面接で発言したりする人がいます。
一般的には「カルチャーフィット」「マインドフィット」などと表現されますが、
社風や文化、企業理念への共感をしている企業に対しては「是非とも入社したい」と感じると思います。

フィットの仕方はその人の価値観によって下記の通り様々でしょう。f

  • 人間関係を大事にしているフラットな組織で働きたい
  • 社会に貢献できる事業をやっている会社で働きたい
  • 最先端のテクノロジーを用いているところで働きたい
  • 実力志向の組織で働きたい

しかし、就活生はもう一つの重要な視点を軽視している傾向にあるように思います。
それは
「この企業の職務において求められる知識、技術は何か?」
「今すぐにビジネスの世界でどんな力を発揮できるか?」
といった「スキルフィット」の部分です。

恐らくこれから、新卒採用においても、企業はますます「スキルフィット」を採用の判断材料としたり、
そもそもスキルの高低によって初期報酬など採用条件を変えたりすることが増えてくるでしょう。
産業構造がシフトしてきた現代においては、新卒を一括で大量に採用し、
一定のパフォーマンスを全員が上げるために画一的な社員教育をしていくことを前提とした人材要件から、
今後はその時その時の環境変化に対応して求められるスキルを自ら能力開発できる自律性の高い人材要件が
求められる
ようになってきているからです。

特に入社してすぐに大きな裁量権や高い給与を与えると言っている企業であればあるほど、この「スキルフィット」を大事にしています。
当然のことながら、今すぐに高い付加価値を生み出せると判断するからこそ、
組織として重要なポジションの獲得というチャンスをつかむことができるわけです。

またここでの具体的なポイントは
同じ職種でもその企業の事業内容、商品サービス、現状の経営課題、今後の事業展開、戦略ビジョンなどによって求められる知識、スキルも変わる
ということです。

例えば
A社は個人に対して有形商品の営業を行っている企業で、B社は法人に対してコンサルティングの営業を行っている企業だとします。
どちらも同じ営業ですが、個人営業のA社では顧客の感情に寄り添う共感力や、顧客の不安を取り除く安心感を与える受容力などが求められます。
それに対し、法人営業のB社では顧客企業のニーズを特定するための課題発見力とそれに対して解決策を提案するための説得力のある資料作成力などが求められます。
このように同じ営業という職種でも、会社によって求められる能力は異なってくるのです。

だからこそ、企業分析の視点として

  • どんな事業内容か?商品サービスは?部署は?

という観点のみならず

  • 自分が希望する職種ではどんな知識やスキルが求められているのか?

というところまで答えが出せていれば、それを事前に獲得するために読書や専門家に話を聞いたり、セミナーに通ったりするなど、今の時点から積極的な専門性の能力開発が可能になります。

「成長したい」という想いを持っている学生は数多くいますが、
きちんとビジネス環境を分析した上で自分にどういった能力をつけていくかということを、労働市場のニーズから考え抜いている学生は少ないです。

そんな視点で企業や職種を分析して今から能力開発ができると、カルチャーフィットだけではないスキルフィットも兼ね備えることもできます。
そうすることができれば、労働市場の中でも一歩抜きに出ることができるかもしれませんね。

伊藤望
【アチーブメント株式会社 人事部 採用・育成チーム】東京工業大学生命理工学部を卒業後、同大学院に進学し研究を行う。1年間研究活動を続け、共同研究や学会発表などを行うが、アチーブメント株式会社への早期入社を決意し大学院を中退。2018年にアチーブメント株式会社へ入社し、1年目から人事部新卒採用・育成チームに配属。
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