働き方改革とともに、最近さまざまな場所で耳にするようになった、
ワークライフバランスという言葉。
仕事と生活の調和と意訳されますが、
日本では特に、生活においてやりたいこと・やるべきことを仕事と両立ができる状態を指すことが多いようです。
ワークライフバランスの社会的認知と必要性が高まる中で、
私たちはどのようにして両者を健全に両立することができるでしょうか?
アクセル・シュプリンガー・アワード2018を受賞した、
史上最も裕福な人物と言われるアマゾンCEOのジェフ・ベソスは、
その受賞イベントで、新入社員に向けてこうアドバイスしています。
「仕事と私生活の間で“バランス”を取ろうとするのはやめるべきだ」
明確にワークライフバランスの概念そのものに異議を唱えているわけです。
しかしそのアドバイスの背景には、「ワークライフバランスとは何か?」を考えるヒントがあります。
ベソス氏いわく、
「バランスを取るということは、この2つの一方を追求すれば他方を犠牲にしてしまうというトレードオフの関係にあることを意味しかねない。両者は天秤にかけるものではなく、互いに組み合わさる関係にあるものだ」と考えているのです。
実際にベソス氏は、
毎朝家族と朝食をともにし、
ミーティングの時間は驚くほど少なく、
自身の家庭や生活を仕事同様に重んじているのです。
ワークライフバランスとはいったい何か、それをどのように維持し、高められるか。
実はそこに、正解はありません。
当たり前ではあるのですが、
人生の目的や夢と同じように、“他の誰か”や“世間・社会”によってではなく、“自分自身”の定義によってワークライフバランスが何かも、それを手に入れる方法も決まるのです。
仕事と生活の割合を数値で示すことや、他人にワークライフバランスがどうかを聞いて知ることも、自分のそれとは関係がありません。
客観的な判断基準はなく、両者が自分にとってどれほど重要と捉えるか。
比較や世間体ではなく、自分にとっての正解とはどのような状態か。
その定義から仕事と生活の健全な調和は築かれます。
仕事は苦役ではなく、意味づけ次第ではいくらでも恩恵を授かることができます。
その逆も然り、家庭を大切にするからこそエネルギッシュに働き、生産性を高めることができます。
大切なことは、『自分なりの』ワークライフバランスを明確にすること、もっと言えば『自分にとっての』幸せの定義を明確にすることです。
それを得るために、仕事という手段、生活という手段が本来はあるためです。
『自分にとっての』ワークライフバランスの正解とは、どのような状態でしょうか?