ビジネスシーンであっても、プライベートであっても、
「思い込み」を強く持ってしまい失敗してしまうことは、誰もが一度は経験のあることだと思います。
たとえば、以前やったことのある仕事と同じような仕事だと思って取り組んだ仕事が、
実は全く異なる性質の仕事で、歯が立たず大失敗をしてしまうなど、
「思い込み」が私たちを失敗に導いてしまうことは多々あります。
こうした思い込みの罠に陥らないようにするために、私たちはどんなことが出来るのでしょうか。
マサチューセッツ工科大学の上級講師であるC・オットー・シャーマー博士が提唱する
「U理論」によると、私たちが「思い込み」を持って人の話を聞いている状態は、
「ダウンローディング」という状態に陥っていると言います。
「ダウンローディング」とは、「過去の経験によって培われた枠組み」の中で、自分の思考や意見が再現されており、
目の前の出来事や人に焦点が当たっていない状態のことです。
たとえば、子供が学校から帰ってきて、すぐに友達の家に遊びに行こうとした時に、
親から「宿題はやったの?勉強は大丈夫なの?」と言われて、
「またいつもの説教か…」と思いながら話を聞き流してしまう場合。
あるいは、いつも時間に遅刻してくるメンバーが「今日は電車が遅れていて…」と説明をした時に、
「どうせまた言い訳だろう」と聞き流してしまう場合などは、この状態に当たります。
オットー博士は、この状態に入らないようにするためには3つの観点が重要だと言います。
- ダウンローディングの引き金となる自分の反応に気付く 【防止】
- ダウンローディングに陥っている自分に気づく 【発見】
- ダウンローディングから抜け出しやすい状態をつくる 【対処】
そもそも、思い込みの罠にはまらないように【防止】をする必要があります。
自分がどのような状況に陥るとダウンローディングの状態になりやすいのかを把握しておき、陥らないように気を付けるということです。
しかし、【防止】を心がけていたとしても、ダウンローディングに陥ってしまうこともあります。
その場合は、自分がダウンローディングに陥っていることをいち早く【発見】する必要があります。
「すでにこれは知っていることだ」と思っていたり、「この話のオチは…」と先読みをしてしまっているときは、危険信号です。
ダウンローディングの状態に陥っている可能性が高いです。
そういった判断や評価を持ってしまっていないか、常に自分に問いかけることが大切です。
最後に、【発見】したところから抜け出すためには、3つ目の【対処】を実行する必要があります。
具体的には「保留」という方法を取ります。
何かしらの評価、判断、結論や決めつけを一旦「保留」し、「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」と考えます。
この「保留」を意識的に実行できれば、ダウンローディングから抜け出しやすくなります。
【防止】【発見】【対処】という3つの観点で、常に重要になってくるのは、「思い込み」の性質を理解し、意識しておくということです。
自分が「思い込み」をしやすい状況はどういう状況なのか。
「思い込み」をしているときの自分はどういう思考や行動を取っている傾向があるか。
そのことを把握した上で、「今の自分の評価、判断、結論はそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」という考えを常に意識して持つようにすること。
これが「思い込みの罠」から抜け出す方法です。
「思い込みが強いね」と周りからよく言われる人は、ぜひ試してみてください。