就活や婚活などの活動が盛んになっていることもあり、
周りの人から見て「自分はどんな人間か?」と質問をして答えてもらうことや、
職業適性調査・性格診断などを受けることが流行りにもなっています。
人からの印象や見られ方に関心があることは悪いことではありませんが、
人からの評価を聞くときや診断ツールを使用するときには、
一つ注意しなければならないことがあります。
それは、人にはたくさんの性格が共存しているということです。
自分の性格や、それこそ仕事・パートナーへの向き不向き含めて、
それらを単純な一つのタイプに分類することは難しく、
様々な要素が複合的に絡んで形成されています。
これは、「バーナム効果」と絡めて心理学では有名な現象です。
バーナム効果を簡単に説明すると、誰にでも当てはまる性格の特徴などを言われ、さも自分だけに当てはまっていると勘違いしてしまう心理学の現象のことを指します。
(中略)
例えば、「あなたはとても傷つきやすい一面をもっています」「あなたは社交的な一面をもっていますが、本質は一人でいる時間も大切にしたいタイプです」「あなたは実は素晴らしい才能を沢山もっているのですが、上手に活かしていません」などと言われ、「何で私のことをこんなに解るのだろう」と思ってしまうのが、バーナム効果が働いている証拠です。よくよく考えてみると、実はあなただけではなく多くの人に該当することなのです。
<引用:心理資格ナビ https://successbeginstoday.org/>
特にこの「バーナム効果」は、自分が尊敬や信頼を寄せている友人や先輩、権威ある相手からの発言である場合に、効果が高まります。
この人が言うなら…と妙に安心して、自分の性格や指向をその人が言う通りに信じ込んでしまうのです。
注意すべきは、他者や診断ツールで得られる情報は全て、あくまであなたの性格の一部を表しているにすぎないということです。
指摘されたことが、自分の性格の全てを指しているのではないのです。
たとえば、
「あなたは人との交わりを求めていますが、根っこでは自分一人の時間を求めています」
と周りの人から聞いたとして、
前者と後者のどちらの自分が本質か、などと考えても答えは出ません。
もっと言えば、
「人との交わりを求めているって言われたから、人と関わる仕事を選ぼう」
「自分の時間を大切にしていると言われたから、一人で集中できる仕事に就こう」
などと、周りの人の意見によって性格や仕事の向き・不向きを決めることは短絡的で、
決して効果的な進路選択の方法ではありません。
どちらの性格も共存しているのであって、自分そのものです。
第三者によって自分のタイプを断定的に決めることは自己分析とは言えません。
自己分析において重要なことは、
他者からの情報や診断ツールを過信することなく、翻弄されることなく、
それらはあくまで参考程度にとどめることです。
そして自分を知るための材料は、なにも他者や診断ツールだけではありません。
自分の過去を振り返り、「最も自分の力を発揮していた頃は?」「高い充実感を得ていた頃は?」を問い、その答えから共通項を抽出できれば、自分の強みやモチベーションを高く維持する方法、自分なりの幸せはより明確になるでしょう。
もしくは今の自分のお金や時間の使い方を確認し、「お金や時間の先に、どんな欲求を満たしているか?」「お金や時間が無限にあれば何をするか?」を問えば、人生において求めているものや、満たしたい欲求の優先度が分かるでしょう。
他者や診断ツールは、現在の自分の一角を切り取って判断しているにすぎません。
現在だけでなく、過去の振り返りや未来の想像によってでも、自己分析は可能です。
それらを活用する場合には、「バーナム効果」を認識し、自分を知ることの一助にする程度にしながら、今だけではない時間軸も取り入れた多角的な自己分析をお勧めします。