アメリカ合衆国 44代大統領、バラク・オバマ氏。
史上最多の票を集めて当選し、大統領就任後も「Change」をスローガンに、在任8年間の中でより強固な経済、より平等な社会、そして国内においてもより安全な社会を追求し、世界からも高い称賛や評価を得ました。
アメリカ史上初の黒人大統領であり、史上最も若い大統領でもありました。
人材開発や組織開発に関する世界最大規模のカンファレンス ATD(Association for Talent Development)の中で、
教育に対する考え方や大統領に至るまでの経緯、世界平和に向けて必要なことを語りました。
その中で話されていた、「自己変革」について扱いたいと思います。
世界を牽引してきたオバマ氏の考える「自己変革」とは、
決して突飛でマネのできないものではありません。
自己変革のポイントとして二つが挙げられています。
- 色んな角度からアセスすること
現状に不満を抱えたときや、何かしらの問題に出くわしたとき、人は短絡的になりやすく、偏った見方で現状や問題を捉えることがあります。
オバマ氏は、自己変革にあたって、「色んな角度からアセス(評価・判断)することが重要である」と述べています。
実際、オバマ氏はタバコを吸うことがやめられない中で、娘の立場から考えた時にやめる決断をしたと言います。
自分の持つ現状やその問題に対して、自分以外の立場に立って考えることや、捉え方そのものを変えることが、結果としてより早く柔軟に自己を変革できるポイントなのです。
- 一つひとつのことを積み重ねていくこと
自己変革はさることながら、社会を変革することは決して簡単なことではありません。
逃げたくなること、目を背けたくなることもあれば、人からの批判や人との比較もあるでしょう。
ポイントは、変革の難しさを理解し、一つひとつを積み重ねることであるとオバマ氏は述べています。
実際、オバマ氏は大統領在任中も健康保険を持っていなかった2000万人に健康保険を提供できましたが、当然ながら一夜にそれを成し遂げたわけではありません。
今でさえ、全ての人に健康保険を提供できていないのです。
しかし健康保険の提供ができない様々な歴史的な背景や政治問題と立ち向かい、少しずつ理想の実現に向けて前進をしたのです。
理想を描けば、あとは一日一日の積み重ねです。
オバマ氏の、「川の向こう側に到達したいという時に、そこへジャンプをすることは難しいですが、橋を架けることはできる」という言葉は、
すなわち大きな問題の解決や挑戦にあたって、大切なことは「今できることを積み上げていく」考え方なのでしょう。
最後に、これからの我々に求められる考え方として、オバマ氏はこのようなことを述べています。
「一人ひとりが、社会がほんの少し良くなるように、責任を取っていかなければなりません。
進歩はいつも、改善に向けた一人ひとりの責任から生まれるのです。
誰もが『問題』そのものを解決できるわけではありませんが、より良い世界にするために、あなたが『責任』を取ることはできます。
私が自分の娘にそう伝えているように、これからも人に優しく、そして人に役立つ生き方をしていきたいと思っています。」
自己変革や自身を日々変化させていくことは、結果として社会や国をより良い方向へと導きます。
それが例え大きなことではなくとも、大きな変化は小さな変化の連続によって起きています。
「社会は人なり」の言葉通り、最小単位である人の成長、もっと言えば小さな自分の自己変革が社会を変えていくのです。
私たちに今日できる、小さな自己変革とは、いったいどのようなものでしょうか?